世界的にも貴重な、阿寒湖の「まりも」を守るために始まったお祭りで、毎年10月8日から3日間にわたって開催されます。
国の特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」
まりもはアオミソウ科に属する緑藻類の一種で、1921年、天然記念物として指定されました。ボールのような球状体一つが「マリモの一個」というわけではなく、細い繊維のような「糸状体」が集まった「集合体」であり、湖底の水流の動きなど物理的な要因により球形になったと考えられています。世界でも限られた湖にしか生息していないとのことです。
阿寒湖に生息するまりもは、天然記念物に指定される前、ビロード状の球面が美しいと、観賞用などに販売されていました。また、木の伐採などにより、阿寒湖にそそぐ小川の水はせき止められ、まりもはどんどん少なくなっていきました。1921年、まりもは天然記念物として指定されましたが、それ以降も盗難やダムによる影響などで減少は止まりませんでした。
マリモ展示観察センター
「阿寒湖のマリモ」は国の特別天然記念物に指定されており、現在では気軽に自然の状態では見ることが出来ません。
チュウルイ島にある「マリモ展示観察センター」には阿寒湖の湖底を再現した大水槽があり、天然のマリモを見ることができます。
観光船については「阿寒観光汽船株式会社」の公式サイトでご確認ください。
- 住所
- 〒085-0467 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉
- お問合せ先
- 阿寒観光汽船株式会社
- 電話番号:0154-67-2511
メール:akankisen@akankisen.com - 【営業時間】
- 季節により異なります、詳しくは阿寒観光汽船公式サイトでご確認ください。
- 【休館日】
- 遊覧船の運行の無い期間
- 【入場料金】
- 大人2,400円、子供1,240円(遊覧船の乗船金額です)
まりも祭り
1950年、まりも減少の対策として、日本全国で販売されたまりもの返還運動が起こり、第一回まりも祭りが行われました。
それから10年、返還は進み、やがて戻ってくるまりもがなくなれば、この祭りは終わります。せっかく始めたお祭りを終わらせてしまうのはもったいないと、阿寒の行事として続けることになりました。阿寒の観光は6月から8月のわずかな期間でしたが、秋にまりも祭りを行うことで観光シーズンの先延ばしになるという利点もあったようです。
まりも祭りはアイヌ本来のお祭りではありません。しかし、アイヌの人たちには自然崇拝の思想があり、アイヌの儀礼をまりも祭りに取り入れて一つのお祭りにしようと考えられました。
- 開催期間
- 毎年10月8日~10日
- 場所
- 釧路市阿寒町阿寒湖温泉
- お問合せ先
- NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構
TEL・FAX 0154-67-3200
1日目、アイヌコタンの人々が1年間の自然の恵みに感謝する儀式(コタンノミ)があり、地元の学校の生徒たちが作る、大きなまりもの模型をみこしに乗せた「まりもみこし」をアイヌコタンへ練り歩きながら運びます。そしてそれを長老(エカシ)が迎えます。夜には花火大会があり、まりもを迎える儀式が行われます。
アイヌ民族伝統の「まりもを迎える儀式」
夜、阿寒湖の天然「まりも」をアイヌの人が丸木舟で迎えに行き、戻ってくると湖岸で待ち受ける長老(エカシ)の手に渡されます(この時に使われるまりもは国から特別な許可をもらっています)。
「まりも」を捧げ持つ長老(エカシ)を先頭に、湖岸から温泉街にあるアイヌコタンまで約3キロの松明行進が行われます。この行進には各地から集まったアイヌの人たちや観光客も加わり、長い炎の行列となります。
まりもを守る儀式
古式舞踊が披露され、アイヌコタンの広場では、観光客が見守る中、各地から集まったアイヌの人たちが、それぞれの地域の伝統的な踊りを披露します。
その後、迎えたまりもは大きな劇場のチセの横にあるポンチセ(小さな家)に移され神々への感謝と祈りがささげられます。
まりもを送る儀式
2日目の朝、まりも送りの行進が行われます。ホテル街からアイヌコタンの土地を提供した前田一歩園初代延長の銅像の前で弓の舞を奉納し、阿寒神社でまりもを一たん奉納し、後進の最後はポッケと呼ばれる町のはずれにある遊覧船の桟橋の近くに祭壇を作り、まりもを置きます。カムイノミと踊りが行われ、小さな桟橋の前で丸木舟から、まりもがひとつずつ長老の手で湖に還されます。
最後に
まりも祭りは、アイヌ文化と、観光、自然保護をまとめて一つの行事としています。今の形になったのは1960年からですから、決して伝統的な行事ではありませんが、「温故知新」の実践と言える行事のような気がします。
マリモについて知りたいならちょっと古いかもしれませんがこちらの本がおすすめです。
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